若干の問題についての私見                               2005.8.4 1.オープンソースと知的所権についての私見
  矛盾の対極にある様な問題に思われるのだが、基本的には必ずしも二律背反的な問題では無い。 “フリ−ソフト原理主義者”のガチガチの主張はともかく、オープンソース派の大勢は “ソースを公開しない権利”を否定しているとは思えない。“フリ−ソフト原理主義者” の主張も、私流に解釈すると以下のようなものだ。 コピー技術(複製技術)を基本とするコンピューターソフトは本来、文化的インフラストラクチュアと 呼べるもので、例えば、英語、日本語、フランス語等の自然言語の様なものだ。この様なものを 使用する行為そのものへの、いかなる税金、課金もすべきではなく、まして隠匿、使用する 自由の制限なども加えるべきでは無い。フランス語を使うという行為自体から税金を徴収するなど 考えられないという訳だ。但しこれらの言語を使用して、本を出版したり、詩集を発表したり、 新聞を発行したりという商行為を行うことに何ら問題は無く、彼らの主張はこの例のごとく 矛盾するものではない。 オープンソースと特許権、商標権、著作権などの知的所有権の問題も上記の例を参考にすれば 解り易いのではないだろうか。“フリ−ソフト原理主義者”の主張と現在主流の“オープンソフト” の主張の違いは専ら、“ソースを公開しない権利”を巡ってどう対応するかという点にあると思う。 これすら認めないとする立場がストールマンら原理主義の立場だ。しかし今では彼らは コミュニティーのごく少数派だと目されている。ソースをコンパイルしたバイナリー形式でコンピューター が実際に稼動する(実証可能)という点も理解を混乱させている点だ。“バイナリーは無償だがソースは 非公開“などと云うような配布の仕方等々の事例。更に法整備の対応不備や各社のオープンソースに対する 解釈・思惑の違いが混乱を拡大している事は否めない。
2.アウトソーシングと大手コンピューターメーカーの市場戦略についての私見
 所謂、“顧客満足度”を極大化させることを“企業の最大の使命”とするマーケティングにより、 顧客のソリューション(問題解決)ビジネスは関連各社のある種のエゴ・偏見を超えて “Best Of Industry:最も優れたハード、ソフト、サービスをインテグレーションし顧客に提供する” という企業戦略が一般化しつつある。IBM社の戦略などにその典型が見られ、彼らは今や、 自社ハード、ソフト、システムなどに対する拘りを全く捨て去っている。優れた商品、 サービスであればブランドなどは、顧客は勿論のことIBMにとっても何の関係も無いと主張して憚らない。 OEMすら必要ではないという。要はそれらを“ソリューション”として顧客に提供することで 最大の利益が上がればすべて良しという事だ。このマーケティングの流れの背景には、 当該業界、顧客、オープンソースコミュニティ等の“経営資源不均衡”の調整・再構成を促す歴史的圧力がある。 顧客はシステムを自社開発(インハウスで)ですべて賄うことはもはやコストパフォーマンスの上から 不可能という現実があり、ハード・ソフト・システム・サービスのベンダーも主要なテクノロジーだけでも その大部分で指導的地位に留まる事が技術革新の激しい潮流の中で現実不可能、これにオープンソースコミュニティ のダイナミズムの現実がある。これらの圧力を考慮すればBest Of Industryという選択にもとずく ソリューションビジネスの流れはもはや業界の本流(メインストリーム)と言わざるを得ない。だから例えば、 IBMにとってはオープンソースであろうが商用ソフトであろうが“製品が良ければ何の問題もない” と彼らは本当に考えているのだ。  さてアウトソーシングとは、正確には @コンサルティング Aシステムインテグレーションを経て  Bアウトソーシング:業務運用・管理を代行して行う分野である。Cこの更に下位に保守サポートビジネス があるが、ソリューションビジネスを構成する4分野の内で第3層を構成する最も安定したビジネス分野だ と言われる。当然このアウトソーシングは顧客の定型基幹業務の代行運用となる。(何故なら顧客・ベンダー 双方にとって最も大きなIT投資規模をもつからだ、顧客にとってはIT投資効率化とコアビジネスへの資源集中、 ベンダーにとっては安定した巨大市場)  最近、IBM社のパソコン部門の中国企業、”Lenovo、レノボグループ、聯想集団”への売却があり 話題を呼んだ。しかし上記の脈絡で考えれみれば何ら大騒ぎする程のことでもない気がする。日本の企業の 一部にIBMのソリューションビジネスは多分に顧客へのリップサービスか、あるいはやや真剣味に疑問のある 旨の見解がある。何時もの事だがIMBへの理解の不足と言わざるを得ない。巨大で且つしなやかな社風の IBMの真骨頂を観る思いだ。IBM恐るべし!